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2026.02.072026.02.07

株式会社六川仮設|ニーズ分析から始める戦略的サイト設計

ライター村橋 翠
#Web戦略・ブランディング事例

新しく【長野県上田市を拠点に活動する】足場工事会社「六川仮設」のコーポレートサイトが公開されました。このサイトは、事前の綿密なニーズ調査と戦略設計に基づいて制作されたものです。特に 発注側のクライアント(ハウスメーカーや大工、塗装業者など)のターゲット層に響くコンテンツを用意しています。この記事では、そのサイト戦略設計の裏側を具体的に解説し、なぜ「内容で勝負できるサイト」になったのかを探ります。

ターゲットニーズの徹底分析

まず取り組んだのは、主要なターゲットであるクライアントのニーズや課題の洗い出しです。業界ごとにサイトに求める情報や価値は大きく異なるため、細かな要件をリストアップしました。

クライアント(発注者)の求めるもの・課題

クライアント層(例: ハウスメーカーの現場監督)のニーズは主に以下の点に集約されました。

  • 安全第一・無事故対応 – 高所作業の安全確保は最優先事項です。法令遵守(フルハーネスの着用など)や現場管理徹底、落下物防止策、近隣への配慮まで含めた「安全第一」の姿勢が求められます。

  • 高品質な足場施工 – 足場自体の安定性や作業のしやすさ、見た目の美しさまで、品質の高い施工が期待されています。また、建物本体や外構を傷つけない慎重な組立も必須です。

  • 工期厳守と段取り力 – 新築・改修工事では工程どおりに足場の組立・解体が行われることが重要です。他の職人との連携やスケジュール調整への柔軟な対応力も求められます。

  • 納得感のある価格と透明性安さそのものより、価格に見合った施工品質が重視されます。明確な見積もり提示と、追加費用が発生する場合の事前説明など、金額面での透明性も信頼に直結します。

  • 職人のマナー・現場対応力 – 現場での職人の挨拶や身だしなみ、近隣住民への配慮も含め、「感じが良く礼儀正しいスタッフ」に仕事を任せたいという声があります。コミュニケーション力や報連相の徹底もポイントです。

  • 連携・報告のスムーズさ – 施工中の現場状況の共有、トラブル発生時の迅速な連絡体制など、「信頼できる現場パートナー」としての対応を期待されています。

一方でクライアントが抱えがちな不満・不安として、「雑な足場施工のせいで他職が作業しにくい、安全性に不安が残る」「足場の組立・撤去の遅れで工程に支障が出る」「安易な安請け合い(『簡単でいいから安く』)で品質が低下する」「コミュニケーション不足で不安・不信感が生まれる」といった点も明らかになりました。さらに、多くの現場では「一現場一社」が原則のため、他社と協業できず融通の利かない業者は敬遠される、という課題もあります。これらのニーズを満たし不安を解消するコンテンツを用意することが、クライアント獲得の第一歩となります。

戦略設計の基本方針

以上のニーズ分析を踏まえ、サイト全体の戦略方針を明確化しました。ターゲットの要求を満たすと同時に、サイトを通じて伝えたい自社の強みやコンセプトを打ち出すための軸を定めています。

  • クライアント向けに「信頼感・品質・対応力」を前面に – 無事故・高品質施工・柔軟な現場対応といったポイントで信頼を得ることが最優先です。それらを証明する具体的な情報、写真などビジュアル要素も活用し、「この会社なら現場を任せても安心だ」と思わせる情報設計にしました。

ターゲットへの訴求ポイントを最適化し、サイト全体に一貫性を持たせる方針を固めました。それでは次に、この方針を具体化する過程で参考にした業界他社サイトの分析について触れます。

競合サイト分析と差別化の着眼点

戦略設計に入る段階で、同業他社(足場工事業者)のウェブサイトもリサーチしました。特にクライアント向け訴求の強いサイトと、求人募集訴求の強いサイトでは構成やトーンが大きく異なるため、それぞれ3社ずつ計6社を比較検討し、良い点を取り入れつつ差別化すべき点を洗い出しました。

  • クライアント向け訴求が強い競合サイトの傾向: いずれも「安全」「技術力」「対応力」「一括対応」などをキーワードに、法人発注者が安心できるような論理的で上質なブランディングをしていました。例えば、トップに職人の作業動画を背景に流し「最高の職人技能を提供する」といった誇り高いキャッチコピーを掲げている会社や、足場工事以外にも解体・鉄骨工事までワンストップで対応できる強みをアピールしている会社もありました。視覚的には施工中の写真や図面、施工プロセス図解など実績と技術力を“見える化”して信頼性を訴求している点が参考になりました。またレイアウト面では斜めのラインやシンプルな色使いで堅実さ・誠実さを演出しており、「真面目に仕事を任せられる会社」という印象を与えています。こうした分析から、新サイトでも 技術力や安全体制を裏付ける具体的な証拠(写真・数値・フロー)を示す ことや、文章トーンを論理的かつ簡潔にする ことを取り入れました。

コンテンツに盛り込んだ主な訴求軸

戦略方針と他社研究を経て、実際のコンテンツに落とし込んだ主な訴求ポイントを紹介します。六川仮設のサイトには、以下のようなコンテンツ上の柱(訴求軸)が据えられています。

  • 安全第一・高品質の施工体制: 高所作業でも安心できる厳格な安全基準と、見た目にも美しく作業効率の良い足場を提供する姿勢です。クライアントの最重要関心事である安全対策について、サイト上では「フルハーネス対応、安全教育の徹底、事故ゼロへの意識」と明記し、「見栄えよく、安全性に配慮した施工」を行うと紹介しています。具体策として安全装備の100%着用や施工前後の点検報告、過去の無事故記録などにも触れ、「安全と品質に妥協しない」会社であることを訴求しました。

  • 丁寧な対応と職人の人柄: 現場での挨拶やマナー、近隣住民への配慮といった「見えない部分の丁寧さ」が自社の強みであり、取引先から高評価を得ている点をアピールしました。実際サイトでも「礼儀・マナー・コミュニケーション重視」と大きく打ち出し、さらに社長メッセージ内で「現場でのあいさつ、清掃、工程への配慮といった見えない仕事を誠実に積み重ねる。それが『またお願いしたい』と言っていただける足場屋の仕事だ」と語っています。このようにコンテンツを通じて職人一人ひとりの誠実さや対応力が伝わるよう工夫しました。また、スタッフ紹介ページや「現場の声(お客様の声)」も今後掲載予定で、人柄の見える会社として安心感を与える計画です。

  • 現場対応力と柔軟な施工管理: 急な日程変更や難しい現場条件にも柔軟に対応できる段取り力・調整力があることも強調しました。工期遵守はクライアントにとって絶対条件ですから、サイト上では「遅延ゼロ・事前調整・周囲職人との連携を徹底」と述べ、工程管理のきめ細かさを訴求しています。例えばFAQにも「急ぎの案件にも対応できますか?」という質問を設け、「まずはご相談ください。内容により可能です」と記載しました。これにより「柔軟に動いてくれる会社だ」という印象を与え、信頼獲得につなげています。

以上が、サイトコンテンツに反映した主要な訴求軸です。安全・品質から人材育成・社風まで網羅的に情報提供することで、閲覧者が知りたいことを漏れなくカバーすると同時に、「ここなら任せられる」と感じてもらえる価値提案を盛り込んでいます。

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ペルソナ設定に基づくコンテンツ設計

前述のニーズ分析をさらに具体化するために、代表的なペルソナ(架空の具体的ユーザー像)を設定しました。ペルソナごとにシナリオを想定し、サイト内でどのような情報に触れどんな印象を持つかをシミュレーションすることで、コンテンツ設計の精度を高めています。

ペルソナ1: 現場監督の田中さん(42歳・ハウスメーカー勤務)

属性: 関西エリアのハウスメーカーに勤める男性現場監督。戸建てや中高層住宅の新築現場を複数管理している。

重視すること: 「無事故・安全な足場」「工期厳守と柔軟な現場対応」「職人のマナーと報連相」「難しい現場への対応力」。要するに、自分の現場を安心して任せられる足場業者かどうかを何より重視します。

不安や課題: 以前に雑な足場業者に当たって苦労した経験から、「足場がちゃんとしていないと他の職人が作業しにくいのでは」「撤去が遅れてスケジュールが狂うのでは」と心配しています。また初めて依頼する業者だと本当に信頼できるのか不安があり、「見積もりや対応が不透明だと困る」「現場でトラブルが起きないか」といった懸念もあります。

刺さる訴求: 田中さん向けには、とにかく実績と具体例で信頼感を可視化することが重要です。六川仮設のサイトではまず「戸建て・中高層・リフォームなど幅広い現場で足場工事を行うプロ集団」という紹介文で経験豊富さを示し、続いて「現場での対応力や礼儀を大切にした“人で選ばれる足場屋”として信頼を築いてきた」と過去の評価にも触れています。さらに「施工対応エリア: 長野県中心だが隣接地域にも幅広く対応」と会社概要に明記し、必要なら遠方も対応可能なフットワークの良さを示しました。田中さんが最も気にする安全面では、「事故ゼロへの意識」「安全性に配慮した施工」を強調しつつ、工程管理についても「遅延ゼロ」「柔軟な現場対応力」と記載しているため、工期遵守の安心材料になります。また、「礼儀・マナー重視」「現場で気持ちの良い挨拶と報連相」など人柄面の訴求によって、「この会社の職人さんなら現場での印象も良さそうだ」と感じてもらえるでしょう。田中さんが検索経由でサイトを訪れた場合(例: 「足場工事 安全 丁寧 地域名」 など)、これらの情報が網羅された当社サイトは非常に有力な候補として映るはずです。

SEOキーワードの最適化

戦略設計の一環として、SEO(検索エンジン最適化)キーワードの選定とコンテンツへの盛り込みも実施しました。ターゲットユーザーが検索しそうな具体的キーワードをリサーチし、サイト内の見出しやテキストに違和感なく織り込んでいます。

  • クライアント層向けキーワード: 「足場工事 全国対応」「足場工事 丁寧」「足場工事 スピード対応」などを想定しました。例えば「全国対応」はエリアを問わず足場業者を探す建設会社の検索ニーズに応えるものです。六川仮設は実際には長野県を中心に隣接地域までですが、広域対応可能な柔軟性をアピールする文脈でこのキーワードを使用しました。また「丁寧な足場工事」「迅速対応の足場」など品質やスピード感を重視する検索にもヒットするよう、トップページや事業内容ページにそれらの表現を散りばめました(例: 「丁寧な施工と確実な納期で…安心できる足場をご提供します」や「まず六川仮設へ(迅速・丁寧に対応)」といった記述)。これにより、「丁寧な足場屋」「急ぎ対応可能な足場屋」を探している人の目にも留まりやすくしています。

以上のSEO施策により、能動的に情報を探している見込み客・応募者に対しても当社サイトが上位表示され、アクセスしてもらえる可能性が高まっています。

コアコンセプト「人で選ばれる足場屋」の体現

六川仮設サイト全体を貫くコンセプトは「人で選ばれる足場屋」です。この言葉には、単に安さや規模ではなく、人間力で選ばれる会社でありたいという思いが込められています。実際、サイトのトップコピーでも「品質でも、人でも選ばれる足場屋へ」と掲げており、品質と人柄の双方でお客様に選ばれる存在になるという決意を示しています。これは社内で日頃から共有している理念でもあり、従業員一人ひとりが「礼節を重んじる選ばれる足場屋」の一員として仕事に臨んでいます。

このコンセプトをサイト上で体現するために、具体的には以下のような表現や構成を取りました。

  • ダブルターゲットへのメッセージ発信: 「選ばれる理由」セクションでは、品質面(安全・美しさ・作業性)と人柄面(礼儀・柔軟対応・コミュニケーション)をそれぞれ項目立てて紹介し、どちらか一方でなく両面で選ばれていることを強調しました。これにより、クライアントには技術と信頼を、求職者には人間関係の良さと成長環境を、一目で伝えています。

  • 代表メッセージによる理念共有: 社長自らの言葉で会社の姿勢を語る「社長メッセージ」欄を設け、「足場は安全と信頼の基礎」という表現で仕事の尊さを説きました。さらに「丁寧な施工と真面目な人づくりを大切にしている」「技術と人間力の両方で信頼を築く」と宣言し、社内文化と使命感を示しています。求職者にとってはトップの人柄や考え方が分かる安心材料になり、クライアントにとっては経営者が信頼に値する人物か判断する材料になります。

  • 随所での人にフォーカスしたコンテンツ: 会社情報ページでは「品質へのこだわり」と「人柄への信頼」という二本柱で六川仮設の強みを紹介し、「足場の質とそれを支える人に評価される会社」と明記しました。また採用情報ページでは実際に現場で働く職人たちの写真やエピソードを豊富に掲載し、働く人の魅力を伝えています。

このようにコンセプトを軸に据えた情報発信によって、サイト訪問者に「六川仮設は信頼できる技術力があり、何より人が素晴らしい会社だ」という印象を残すことができています。実際、サイト公開後にクライアントから「礼儀や対応力まで含めてしっかり書かれていて御社の姿勢がよく分かった」との反応があったほか、求職希望者からも「未経験OKで雰囲気も良さそうなのでぜひ話を聞きたい」という問い合わせが来るなど、早速コンセプト通りの評価を得られ始めています。

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まとめ

六川仮設の新サイトは、このように徹底したニーズ調査と戦略立案を経て生まれました。単に見栄えの良いデザインに頼るのではなく、コンテンツの一つひとつに明確な意図とメッセージを持たせています。その結果、発注者が知りたい安全・品質への取り組みや実績が網羅され、求職者が気になる労働環境や人間関係についても具体的に描かれた、「内容で勝負できるサイト」になりました。

この事例は、これから自社サイトを作成しようと考えている担当者や社長の方々にも参考になるポイントが多いのではないでしょうか。闇雲に情報を詰め込むのではなく、まずは自社の顧客や求職者の生の声を集めニーズを把握すること。そして競合他社の動向も研究し、自社ならではの強みを浮き彫りにすること。最後に、それらを統合したコンセプトを打ち立て、ブレない軸を持ってコンテンツを設計すること。こうしたプロセスを踏むことで、サイト訪問者にとって本当に価値ある情報提供が可能となり、ひいては問い合わせ件数増加や採用成功といった成果につながります。

六川仮設のサイト制作を通じて得た確かな手応えは、丁寧な戦略設計こそが効果の出るサイトを生むということです。これからサイト制作を検討されている方も、本記事の内容をヒントに、ユーザー視点に寄り添った戦略的なウェブサイト構築に挑んでみてください。きっと「作って終わり」ではなく「成果を出す」ホームページを実現できるはずです。

この記事を書いた人Writer

デザイナー村橋 翠Midori Murahashi
制作にあたって最も意識したのは、「現場で本当に選ばれる足場屋とは?」という問いに真摯に向き合うことでした。クライアント様・求職者様、両者のリアルなニーズを丁寧に紐解き、企業の強みをそのまま伝えること。それが、ブランディングや集客の基盤になると私たちは考えています。

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